免許を活かして就ける仕事をしたい!という方も多いようですが、運送業、土木や建築などの工事現場、その他の作業現場などで働いている車には、どんな種類があるでしょうか。
また、それらの車を運転するには、どんな免許が必要でしょうか。
平成29年3月に道路交通法の一部が改正され、準中型免許が設けられました。
これにより、運転できる車両の免許区分が変わったのです。
今まで普通自動車免許で運転できていた2トントラックなどは、普通自動車免許では運転できなくなり、準中型免許が必要になりました。(※法改正前に普通免許を取得していた方は運転できる場合もあります)
免許区分は、自動車の車両総重量で決まります。
車両総重量とは、車両重量に最大乗車人数(定員)と積載できる荷物の総重量(最大積載量)を加えた数値を表します。(※乗車定員は1名55㎏で計算されています)
ただし、「2トントラック」「3トントラック」などと表記する場合には、最大積載量を表すことになります。
本記事では、働く自動車の運転免許の種類と、その免許で運転できる車両を解説していきます。
働く自動車の運転免許の種類と運転できる車両
二輪を除く普通自動車免許以外の免許としては、準中型免許・中型免許・大型免許・大型特殊免許・牽引免許・小型特殊免許などがあります。
このうち、小型特殊免許で運転できるトラクターや小型除雪車、小型のフォークリフトなどの車両は、普通自動車免許で運転できるため、本文では除外しました。
小型特殊免許だけであれば、16歳以上なら誰でも取得できます。
【1】準中型免許で運転できる車両
準中型免許は平成29年3月12日の法改正の際に新設された免許区分です。
準中型免許では、普通自動車免許で運転できる1トントラックとワゴンの他、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満の車両を運転することができます。
2トン・3トントラック以外にも、ゴミ収集車(パッカー車)や2トンユニック車(クレーンを装備したトラック)、小型消防車、保冷車、高所作業車、散水車などを運転することができます。
この種類の車両は、平成19年以前、或いは平成19年6月2日~平成29年3月11日の間に普通免許を取得した方であれば、準中型免許なしでも運転できる大きさです。
2tトラック | 3tトラック |
ー ISUZU公式HPより引用 |
ー ISUZU公式HPより引用 |
準中型免許取得条件
準中型免許の取得条件は、以下のみです。
- 満18歳以上
【2】中型免許で運転できる車両
中型免許は、車両総重量11トン未満、最大積載量6.5トン未満、乗車定員29人以下の車両を運転できる免許です。
大半の4トントラックやマイクロバスなどが運転できるようになります。
4tトラックに代表される車としては、日野レンジャー、三菱ふそうファイター、いすゞのフォワード、フォワードジャストン、日産UDトラックスコンドル、マツダのタイタン等が有名です。
このクラスになると大量の荷物を積載しながら長距離の運送ができます。
また、大型のユニック車や小型の生コンミキサー車なども運転可能なため、運送だけでなく、土木・建築の現場でも非常に幅広く利用できる免許と言えるでしょう。
平成19年6月1日までに普通免許を取得した方は、8トン限定中型免許となっており、限定解除をすることで中型免許の取得が可能です。
該当する場合、免許の条件欄に8トン限定中型免許である旨が記載されています。
ちなみに8トン限定では、乗車定員が10人以下と定められているため、マイクロバスを運転することはできません。
4tトラック | マイクロバス |
ー ISUZU公式HPより引用 |
ー 三菱ふそう公式HPより引用 |
中型免許取得条件
中型免許の免許取得条件は、以下の通りです。
- 満20歳以上
- 普通免許または大型特殊免許を取得してから免停期間を除き通算運転経歴が2年以上経過していること
【3】大型免許で運転できる車両
大型免許では、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、乗車定員30人以上の車両を運転することができます。
大型免許で運転できる車両には、タンクローリーやダンプカー、大型の生コンミキサー車、30人以上が乗れる大型バスなどが当てはまります。
ただし、大型バスなどで客を乗せて運転する場合は第二種免許が必要であり、トレーラー型のタンクローリーには牽引免許が必要など、他の免許が必要な車もありますので、注意が必要です。
大型ダンプカー | 大型バス |
ー ISUZU公式HPより引用 |
ー 日野自動車公式HPより引用 |
大型免許取得条件
大型免許の免許取得条件は、以下の通りです。
- 満21歳以上
- 普通自動車免許、準中型免許、中型免許、大型特殊免許のいずれかを取得しており、免許停止期間を除くその通算運転経歴が3年以上であること
【4】大型特殊免許で運転できる車両
特殊免許とは、特殊な形状・用途の自動車を運転するための免許です。
最高速度と車両の大きさによって小型免許・大型免許の両方が存在します。
大型特殊免許では全長12m以下、全幅2.5m以下、全高3.8m以下の特殊車両が運転可能になります。
大型特殊免許で運転できる車両には、主に土木・建築業界で活躍するショベルカーやホイールローダー、ラフタークレーンなど、物流センターなどで荷物を運ぶ際に用いられるフォークリフト、大型除雪車、ロードスイーパーなど道路敷設に使用する車などがあります。
大型特殊免許は、あくまで公道を走行するために必要な免許です。
特殊な大型自動車の運転の場合、実際には公道を走行し、現場で作業をすることになるでしょう。
作業をする場合は、その作業に合った作業免許(講習)が必要になります。
フォークリフトで作業をするには、フォークリフト運転技能講習、 移動式クレーンで荷物を吊るには、移動式クレーン運転士免許実技教習や玉掛け技能講習、または牽引免許や建設機械整備技能士など、公道を走行するための大型特殊免許の他に、作業するための作業免許が必要であることを覚えておきましょう。
ショベルカー | ホイールローダー |
ー KOMATSU公式HPより引用 |
ー 日本キャタピラー公式HPより引用 |
大型特殊免許取得条件
大型特殊免許の免許取得条件は、以下のみです。
- 満18歳以上
【5】牽引免許で運転できる車両
大型自動車、中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車で750kgを超える車両をけん引する場合、けん引する車両の免許と合わせてけん引免許が必要です。
取得すると左の画像のようなけん引自動車に荷台を乗せてけん引を行うことができます。
右の画像は荷台を乗せた時の状態です。
けん引自動車 | 荷台を乗せた状態 |
ー ISUZU公式HPより引用 |
ー ISUZU公式HPより引用 |
牽引免許取得条件
牽引免許の免許取得条件は、満18歳以上ですが、牽引免許は、そもそも付随的な免許であるため、普通・準中型・中型・大型など運転する車両に応じた自動車運転免許を取得していることが必須です。
視力の条件は通常の免許と同じですが、2mの距離で遠近感や奥行きなどを調べる深視力については、3回検査をし、その誤差の平均が2cm以下である必要があります。
働く現場に合わせて免許を取得しよう!
以上、仕事として車を使う時に、どんな免許で、どのような種類の車が運転できるのかを解説してきました。
このような車が活躍するのは、運送業、土木・建築業、物流業界、バス業界など多様な現場が挙げられます。
そのため、自分がどのような仕事をしたいのかを見極め、その働く現場に合わせた免許を取得するようにしましょう。
その際、その免許だけで仕事ができるのか、或いは他の免許や資格も併せて取らないといけないのかをしっかり確認することをおすすめします。
仕事で必要な免許を取得して、もっと活躍の場を広げていきましょう。